数学のリアル

数学のリアル

数学のリアル

理系の学問に疎いのがコンプレックス。で、初心者向けの理系の本を見ると、色々手を出したくなる。
書いた人の肩書きが「サイエンスナビゲーター」だった。なんだか分からないが、サイエンスをナビゲートしてくれるとは素晴らしい!とかなり期待して読んだ。しかしちょっと期待外れ。思ったほどわくわくしなかった。


各章の最初に「お悩み相談室」として、素人代表の「ママ・パパ」と「先生」のやりとりが書かれる。分野によらず、初心者向けの本ではよくあるパターンだ。
自分の仮説だが、この対話部分が読んでいて楽しい本は、全体もけっこう分かりやすくて面白い場合が多い。
つまり、書く人がどれだけ聞き手(=読者)を意識して書いているか、がこの部分に出るからだろう。説明の都合に合わせたような質問しかしない、一人二役みたいな聞き手が設定されていると、読む前から興味半減する。

そのくらいなら、むしろ本当に別人の聞き手に入ってもらえばいいのに、なんて思う。以前読んだ「経済ってそういうことだったのか会議」みたいに。
ただその場合、聞き手のセンスがかなり重要。その分野に関する知識は素人で、でも苦手意識はなく、それなりに理解力もあり、何より好奇心旺盛で、素直に疑問を口に出せる人。いそうで意外といない、のだろう。


科学に限らず、何か専門的な知識を広く発信する上でカギになるのは、こういう「偉大な素人」にいかに出会えるかという点かも知れない。