大阪市立大学学術情報センターの日曜開館
新年早々、びっくりしたニュース。
・市立大図書館 日曜開館へ : 大阪 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20130110-OYT8T00172.htm
要約すると、Twitterで「大阪市立大学の図書館が日曜も開いているようにしてほしい」という要望が大阪市長宛てに寄せられ、市長の指示で4月から日曜開館・土曜の開館時間延長がされることになった、という話。最初の要望が投稿されたのが1月5日。1月10日には上記の報道がされている。この経緯は以下にもある。
なんでびっくりしたかというと、昨年末に大阪市立大学の図書館業務委託の受託者募集を目にしたところだったから。公告の日付は2012年12月28日、受付期限は1月25日。詳細な仕様書も公開されていた。
・大阪市立大学 図書業務運営委託
http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/about/bid_information/bid/bid_projects/subcontract/0104011
仕様書によればカウンターだけではなく、資料の整理や受入なども含まれる。さらにカウンターの時間や、休館日も明記されている。募集予定は受付期限1月25日、入札2月15日。つまり公告で募集条件が示されてから、受付期限の2週間前になって条件が大幅に変わったことになる。これは結構驚きだ。
どうなるんだろうと思っていたら、1月11日に仕様書の変更が出されていた。
・【重要】平成24年12月28日付公告の「図書業務運営委託」の仕様書の訂正について
http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/about/bid_information/bid/news/gf0f9c
2Fカウンター業務及び関連業務
土曜日の開館時間の延長 10:00−17:00 を 10:00-19:00 に訂正
日曜日の開館の追加 10:00-17:00
5Fマルチメディアカウンター業務及び関連業務
土曜日の開館時間の延長 10:00−17:00 を 10:00-19:00 に訂正
日曜日の開館の追加 10:00-17:00
医学分館カウンター業務
土曜日の開館時間の延長 10:00−17:00 を 10:00-19:00 に訂正
これでどのくらい増えたんだろう。眺めつつ、ちょっと電卓を叩いてみる。
開館時間は上のとおりだが、仕様書によると土曜・日曜は開館と閉館の準備(合計0.5時間)も委託らしい。したがって日曜日の準備は増加分。
カウンターの配置人数は仕様書にある。2Fに1名、5Fに1名。医学分館は2名。ただしこれは最低確保する人数なので、繁忙時には追加が求められる。普通は控えのスタッフを用意しないと回らないだろうが、分からないのでひとまず無視する。来年度の日曜日は40日、土曜日は45日*1。さくっと計算すると、カウンター業務周りで増えたのは以下のとおり(読み間違いしていたらすみません)。
土曜日(2Fと5F) 2時間×3名×45日=270人時
日曜日(2Fと5F)7.5時間×3名×40日=900人時
土曜日(医学分館)2時間×2名×45日=180人時
合計 1,350人時 /年
ついでに見積もりしてみる。人材派遣の単価の相場っておいくら?とググったら、こんなのが出てきた。
・企業が支払う派遣の時給相場
http://hakengate.jp/souba.html元データはこちら
・平成22年度の厚生労働省の労働者派遣事業報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020gcq-att/2r98520000020ge7.pdf
派遣料金「事務機器操作:1,888円/時間」に相当すると考えて、人時と掛け算してみる。ちなみにこれ、働いている人が受け取る時給ではなくて、発注者が支払う金額であることに注意*2。
2,548,800円。委託の人件費のみで、これだけ増えることになる。前に述べたとおり、控え人員一切なしという無茶な想定での計算だから、実際はこれよりはかかるだろう。
他にかかる追加コストとしては、光熱費。想像がつかないが、大きい建物だからかなりの金額だろう。その他に思いつくのは、情報システムの保守費用、データベースの使用料金、警備や掃除を外注しているならその費用、などだろうか。もちろん正職員の人件費も増える。
その費用はどこから出てくるのだろう。市からもらえるのか、大学がやるはずだった他のことを諦めてそちらに回すのか。いずれにしても図書館だけで決められる話ではない。
ひとりの人の「つぶやき」を受けて、たった数日のうちにそれだけのお金が動くというのは、やはりびっくりすることだ。
日曜開館自体は、以前から要望があったようだ。自分も、日曜日使えたら便利だとは思う。
大阪市立大学新聞 第3号 (2011年6月1日発行)▼ガクジョウナンミンを救えるか
http://hijicho.com/?page_id=298&page=2
できなかった理由は、やはりコスト。この新聞の発行日は6月。市長さんの指示と予算とがセットで、せめて2011年中に降ってきていれば、一年かけて検討できたのだろうになぁ。