中坊とおばーちゃんとネットと、私。
前回の記事は思わぬ数の反響をいただいた。予想以上に皆さんの関心のあるところだったらしい。id:katz3さんの「トップダウン/ボトムアップで割れているのですね」という分け方には、非常にすっきり納得。やっぱり人に見せてみるもんだ。
そんなことを思いつつ日を過ごしているうち、図書館総合展も終わってしまった。今回は行けなかったから、行った人たちのレポートを指くわえて読む。面白い。行けばよかったなぁ。
最近あった話。
知り合いの中学一年生と話していたら、相手が「○○はWikipediaに載ってた」なんて話をする。いくつくらいからネット使っているの?と聞いてみると、小学5年くらいの頃にはインターネットで電車の写真なんか探していたそうだ。ちなみにPC自体はもっと前から触っている。今は携帯からでもどんどんネットに接続する。多分、自分が「テレビはどうやって映るんだろう」なんて考えたこともなく観ているのと同じくらいの自然さで使っている。
デジタルネイティブだ、と感心していたら、「xiao-2さんの時代はポケベルでしょ」と言われた。ポケベルとか知ってるのもある意味スゴイ。君たちにとっては磨製石器と同じレベルの歴史遺物だろうね。
だが見ていると、携帯でむやみと色んなものをダウンロードしたり、目の前にいる友達の携帯にいたずらで空メールを大量に送ったりしている。そんなことしたら料金がいくらかかると思うんだ。そういうところ、ガキはやはりガキなのである*1。
別な話。
知り合いの80代のおばあさん(Tさんとでもしよう)で、昔お連れ合いが本を出したという方がいる。職業作家ではなく、著書はその一冊きり。刊行されたのは30年も前だが、きわめてマイナーな実用書だったので今でも細く長く版を重ねているらしい。
…という話を聞いて好奇心が働いた自分。Googleブック検索でその本を探してみた。そしたらなんと出てきましたよ。どこぞの図書館で持っていたんだろう、書影とタイトル、著者名までしっかりと。書いた方は亡くなったが、まだ著作権は生きているから本文は読めない。
で、思ったのだが、万一これで間違って本文が読める状態になっていたらどうしたらいいのだろう。著作権継承者であるTさんに告げたいが、ご本人はネットを使ったことがないしその環境*2もない。
Googleブック検索のヘルプには、著作権に問題のあるものが載っていたらメールで連絡せよとある。が、上のような状況でTさんがご自身でこの書籍を見つけて、著作権侵害されていると認識して、メールで連絡できる可能性は限りなくゼロに近い。
図書館総合展のどなたかのレポート*3で、参加者から「公共図書館にはパソコンを使えない子供もお年寄りも来るので、そういう人に配慮すべき」という発言があった、というのを読んで、この二つの体験を思い出した。まあ子供やお年寄りが全員IT苦手とは限らない*4けど、そういう人をサポートできるのが図書館の役割なんじゃないかなぁ、と思う。そしてサポートするためには、単に自分が使うため以上に正確な理解と知識が要る。だから少なくとも、知らなくてもいいことにはならない。
自分はTさんにGoogleブック検索を説明するためのロジックを脳内で組み立てようとしたが、挫折した。自分の言葉で語ろうとしたら、いかに理解してないか分かった。そんなことではいかんのだなぁ、多分。