災厄の町

 久しぶりの平日休み。せっかくだし遠出でもしようかと考えてた。…のに、台風接近。お陰で外出どころか、洗濯物すら部屋干し。災害のことを考えればそのくらいで文句言えないのだけど。

 ただただ蒸し暑い。部屋も自分も、生ぐさく黴くさく汗くさい。そんなところで真面目なことを考えても、邪魔くさく阿呆くさく辛気くさい。

 ゆえに、だらだら本を読む。ネガティブ晴耕雨読

災厄の町 (1977年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

災厄の町 (1977年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 エラリー・クイーンを読むのは2作目。最初に読んだのは「Yの悲劇」だったが、この話の方が自分は面白かった。
 殺人事件そのものよりも、周りのぐじゃぐじゃした人間模様の方がリアルに怖い。プライバシーのない田舎町、人の噂と偏見で精神的・物理的に追いつめられていく人々。そんな「町」の雰囲気が事件の伏線でもあり、背景でもある。こんな町、日本にもありそう。というか日本にこそありそう。
 裁判のシーンでは、先日報じられたばかりの裁判員裁判を思い出した。小説とは言え、普通の市民が人を裁くことの難しさを考えるテキストにいいかも知れない。少なくとも自分がこの町に住んでいたら、公正な裁きができる自信はない。


 表紙に、古い邦画のワンシーンとおぼしき写真が使われている。ネットで引っかけてみると、1979年に松竹で「配達されない三通の手紙」として映画化されたそうな。表紙にもタイトルの「災厄の町」と並べて、「映画化名:配達されない〜」と書かれている。
 ここで余計な好奇心。もし「配達されない〜」の方を本のタイトルだと思いこんだ人がいて、図書館で「アレ探してください」となったら、探せるのか。
 この本を借りた図書館のOPACを検索したが、駄目だった。NDL-OPACの和図書もヒットなし。NDL総合目録とWebcatを引っかけてみたら、映画のビデオやシナリオがヒット。シナリオの方の注記に、「原書名:Calamity Town(災厄の町) 」とあった。ビデオの方も原作エラリー・クイーンとは書いてあるから、空気の読める人ならここでエラリー・クイーンの原作か?と疑って調べてみるだろう。めでたしめでたし。

 しかしながら。実はそんな手間をかけなくても、タイトルでググると一発でさっきの松竹映画がヒットしたりする。Google恐るべしというか、なんというか。