「貧困」を考えるための2冊

 恒産なければ恒心なし。貧すりゃ鈍す。
 子どもの頃この言葉を知った時は「そこまで言わなくてもなぁ」と反発した。お金が無いからと言って人格まで否定しちゃいかん。という考えが漠然とあったんだろう。
 でもこの言葉の本当の意味は「貧しさは人格までダメにする力がある(から、気を付けろ)」だったのじゃないか。

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

 とってもポップで読みやすいけれど、重い。
 お金が無いということの悲惨さと、そこから自分の力で抜け出すための努力。そうして得た貴重な「カネ」を株や麻雀につぎ込んだ話。この両方の話を聞かせてくれる人は、そうそういない。
 日常生活の経費を270円ののり弁で換算して、コーヒーで腹がふくれるか!と言っている人が、一方では賭け麻雀で5千万なくした。ということにくらくらする。これが「カネ」の力。

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

 「溜め」という考え方に、ものすごく納得。しかも「溜め」に人間関係や精神的なものも含まれるということに、目から鱗。ニュースや新聞で貧困について報じられる度、なんだかもやもやと納得できないでいたことが、うまく説明してもらえた気分。
 本文中で、「この本は政策的提言になっていない」とあった。確かに、だからこうしなさいと具体的なことを押しつけてくる本ではない。ただ自分で考えなさい、と言われる。貧しいのは本人の努力が足りないのだと片付けたり、政府が悪いと文句だけ言って思考停止するのではなく、自分で考えなさい、そして行動しなさい、と。

 両者あわせて読むと色々なことを考える。言い方や視点が違うだけで、同じことを言っているんじゃなかろうかと感じるところが、いくつもある。


 さて、ちょうど定額給付金のお知らせが来た。何に使おうか…。