ベロ出しチョンマ

ベロ出しチョンマ (理論社名作の愛蔵版)

ベロ出しチョンマ (理論社名作の愛蔵版)

 子どもの本だとなめてたら、やられた。

 まず言葉。案外難しい言葉も容赦なく使ってある。歴史用語に方言に。考えてみると「花さき山」「八郎」なんかを子どものころ読んだ時、そういう言葉の意味が分からないからと言って読むのに困った記憶はない。「一キ」「ネング」「ごうそ」なんて正確な意味が分からなくても、「なんだか恐ろしいもの」という理解はちゃんとできる。そして、子どもの目線から見るならそれで充分なのだ。

 ストーリーも深い。「五郎助奉公」のうそ寒い結末。「おかめ・ひょっとこ」はぞっとする。「寒い母」のテーマは大人向けだけど、子どもにも是非読ませたい。その深さを深いと分かるだけ、大人になってよかったと思う。

 声出して読むとさらに楽しい。やっぱり音読するためにできている文章だなぁ、と実感する。残念なのは、自分に東北弁の素養がないことだ。

泣ぐなわらしコ。おめえの泣ぐの見ればおらも泣ぎたぐなる。(八郎)

タハハ、ばかケだからばかケよ。山は山だ。海サぶちこむばかケがあるか。(三コ)

 たまらん。こんな台詞秋田弁で読んでみたい。

 ちなみに、出所はまたしてもレファレンス協同データベースだったりする。

『ベロ出しチョンマ』(斎藤隆介作の短編)の最後に「千葉の花和村の木本神社の縁日では、今でも『ベロ出しチョンマ』を売っている」とあるが、「木本神社」は実在するのか。また、「ベロ出しチョンマ」の人形は入手できるか。
http://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000053296

 いいねえ。こういうの好きだ。