Deep Love―アユの物語 完全版

Deep Love―アユの物語 完全版

Deep Love―アユの物語 完全版

ケータイ小説というものを初体験。読みにくいなぁ、というのが正直な感想だった。読みづらい(横書きだから)、ではなくて、読みにくい。
説明が足りなくて、状況がさっぱり浮かんで来ない。「あれ『部屋から出た』って書いてあるけど、今まで屋内にいたの?というか、この場所どこ?」と慌てて前のページを繰っても、該当する説明がまったくない、ということが度々。普通の小説がサラサラ読めるのは、さりげない状況描写が、きちんと矛盾しないように織り込まれているお陰なのだと気付かされる。校正さんって偉い。

しかし携帯の画面で表示できる量を考えると、そういう細かな描写を含む文章は読みづらいのだろう。あの小さい液晶画面で容易に読みとれる分量で、しかも状況が生き生きと目に浮かんでくるような文章を作るには、恐らくたいへんなセンスが要る。俳句とか短歌並みの洗練度が必要だろう。ケータイ小説がもっともっと進歩していくと、そういう研ぎ澄まされた文体が出現するのかも知れない。だったら面白いな、と楽観的妄想。

内容についてはあえてつっこまない。Amazonのカスタマーレビューを見るとボコボコにされてるけど、さもありなん。

この本、近所の図書館のYAコーナーにあった。ちなみに同じYAコーナーに「Itと呼ばれた子」が6冊くらいあったけど、そんなに複本置くほど人気あるのか、あの本?