紙のなんでも小事典

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「紙」というひとつのテーマで、色々な分野を輪切りにして見るのは面白い。
図書館では「585 パルプ・製紙工業」に分類されている。もちろんその内容がメインだけれども、歴史や文化的な面での記事もある。高校の教科の分類で言えば、日本史・世界史・日本文学・化学にも広がっている。*1紙というのが非常に長い歴史を持っていながら、現代でも非常に身近で、かつ最先端で使われている素材だからこそ、こういう幅広い取り上げ方ができる。

こういう本の良いのは、まずテーマありきなので、馴染みの薄い分野にも触れられることだ。化学組成の話なんか、単独で読んだらとても興味を持続できなかっただろう。しかし「紙」という具体的なモノが先にあって、それを取り上げる角度のひとつだと思えば、それなりに面白い。

章タイトルが良い。

 第1章:「紙頼み」現代社会 - ますます必要になる紙
 第2章:「漉き」こそ紙の上手なれ - 伝統的な製紙法
 第3章:「紙技」を機械技へ - 近代的な製紙法
 第4章:紙は世につれ国につれ - 紙の歴史
 第5章:源紙物語 - すばらしい和紙
 第6章:紙をも恐れぬ使い道 - 意外な紙製品
 第7章:紙ならぬ身 - 意外な素材の「紙」
 第8章:捨てる紙あれば拾う紙あり - 紙のリサイクル

こういうセンスは好みが分かれるかも知れないが、自分は大好き。

*1:なぜ高校の教科で言うかというと、自分の人生において、理系と呼ばれる大半の学問との付き合いがそのあたりで途絶えてしまっているからです。