図書館総合展に行ってきた。〜出版市場としての図書館、読書基盤としての図書館−出版界と図書館界の本音がぶつかるフォーラム

 今年も行ってきました図書館総合展。まずはこういうのを聴いてきたよ。

出版市場としての図書館、読書基盤としての図書館〜出版界と図書館界の本音がぶつかるフォーラム
パネリスト:石井昭(公益財団法人図書館振興財団理事長)
パネリスト:持谷寿夫(一般社団法人日本書籍出版協会副理事長/株式会社みすず書房社長)
コーディネーター:湯浅俊彦(立命館大学文学部教授)

 既に録画が公開されている(http://2013.libraryfair.jp/node/1683)。お陰でxiao-2は安心して自分の印象に残ったことだけメモ。敬称略、抜け漏れ・誤解はご容赦。項目立ては適当。

  • 湯浅
    • 本日のテーマ「出版市場としての図書館」「読書基盤としての図書館」、それぞれについて主な論点をスライドでピックアップした。真ん中に石井さん・持谷さんの並ぶ写真を出してある。この写真はにこやかだが、にらみ合っているようなのの方がいいかもしれない(笑)
    • まず持谷さんより、出版界から見た図書館についてお願いします。
  • 持谷さん
    • このパネリストの話は半年前からいただいていたが、だんだんプレッシャーが高まってきた(苦笑)。タイトルにも「本音」とあるので熱いバトルを期待されているのかもしれないが、「本音」というより、むしろ「素直」といった方が適当。
    • そもそもの話として、本というものは多様。本そのものだけでなく、本を出す出版社もまた多様。図書館(特に公共図書館)に対する出版社の見方も、また多様。100の出版社があれば100の見方がある。
    • それを「出版界」とまとめるのは難しい。自分も色々見てきたが、やはり一つの答えはない。皆さんが「出版界とはこういうものだ」と思われているであろうイメージ以外にも、いろいろな面がある。
    • ただやはり現状として、出版市場の売り上げは減少している。一方で図書館の数は増えており、資料費は減っている。そうした状況が出版界に影響がないはずがない。
    • そういう話題についてなされる議論は、著作権とデジタル化の話題に終始しがち。本を扱う者同士、なぜもっと色々議論できないのか。その理由を知りたい。そういう気持ちで話しているので、必ずしも問題発言が出るとは限らない。
    • 図書館を市場として見ることは、決して経済的合理性の面ばかりではない。しかしこの見方はなかなか出版界に理解されない。出版者も、図書館も、お互いのことを知らない。もっと知りたい。
    • 自分自身、こういう立場にいるが、やはり図書館の現場でどんな人がどんなことをしているのか知らない。最近みすず書房でいくつか図書館関係の本を出している*1。それでようやくちょっと図書館のことを知った、というくらい。
    • 一般的な本や雑誌の市場は、図書館の存在と無関係に成り立つと思う。文芸書など、大部数のものに関しては成り立つ。ただ、そういう本は決して多くない。
    • 著作権者や書店がベストセラー偏重などを懸念するのは、図書館と書店が同じものを同じような形で流通するから。その意味で、最近はあまり話題にされないが公貸権*2というのは検討されるべき選択肢と思う。
    • また、図書館が本を買う場合には書店で個人が買うよりも高い価格をつけるという解決策もありうる。そのように異なる扱いをするとすれば、何が付加価値となりうるか。
    • 少部数の出版物、特に児童書等については、出版社側は本を読者に届ける役割としての図書館を意識している。そうした本の場合には、図書館が市場として成立している。
    • 逆に出版社の人から、「図書館に自社の本を売り込みたいのだが、何か良い方法はないか」と聞かれることがある。図書館には図書館の特徴があるのだが、出版社の側はそれを知らない。
    • たとえば、図書館への販売は返品がない。注文販売のみの世界。その分扱うコストはかかるが、返品がない分収益性は良い。また本だけではなく、書誌や装備なども一緒に扱うことが求められる。堅牢性も重要。
    • 宣伝、パブリシティにおいて、図書館は出版社の利益にかなうのかという論点がある。「買う」と「借りる」の関係は微妙。高い本なら借りて安い本なら買うという、価格だけの問題でもない。
    • 図書館での貸出実績データは販促に有効か。図書館においてのマーケティングとはどんなものがありうるか。ベストリーダー、開架と閉架の違い、新刊か既刊か、利用者≒顧客≒読者。それぞれに、どういう概念なのか。
  • 湯浅
    • 出版界が図書館を知らないという発言があったが、石井さんはどう思われるか。
  • 石井
    • 自分はTRCを立ち上げた人。そうした立場から、図書館側からの意見を述べる。
    • 日本は本を読む人は多い。その割に本が売れないなどと言われる。なぜか。
    • そもそも書籍は多品種なもの。なぜなら書籍というのは知識を伝えるものであり、色々な知識があるのだから多品種になる。なので本は多いが、一つの本あたりの部数は少ない。国民の数から考えると少ないマーケット。
    • 売り上げ数でなく、実際どのくらいの本が世に流通して読まれているか。全体では20億くらいと思う。新刊書店が3分の1、古書店が3分の1、図書館が3分の1くらいか。
    • 問題は、図書館や出版社といった個々のステークホルダーにあるのではなく、流通の仕組みにあるのではないか。
    • 少ない部数の本を必要な人のところへぴったり届けるのが難しい。特に日本は委託販売制で、売れなければ返される。欲しい人のところにぴったり当たるという流通ができるようになれば、図書館が買う部数もはっきりする。
    • TRCは書籍の返品率が低い。10-12%。普通の書店は40%くらい。なぜこんなことが可能かというと、図書館の買う本がある程度見えているため。TRCは全国で2000館くらいの図書館と取引があり、これまでに買われた資料のデータがある。この図書館ではこういう本が必要、といったことが分かる。
      • これまでの書籍流通の仕組みが図書館向きになっていなかった。自分の親くらいの世代にとっては、本というのは書店の店頭に並んでいるものではなく、欲しい本は「探して見つけるもの」だった。
      • その点、TRCは図書館が欲しい本を考えて仕入れている。仕入れの際には版元と直接相談している。最近だと村上春樹の新刊を文藝春秋に8000部注文して入れてもらった。そうしたらもっと大きい書店から「そんなに入れてもらえたのか」と驚かれたりした。
      • 初版の3000部なら3000部を、きちんと売りきれば、出版社側から見れば買ってくれれば、経営合理化ができる。特に中小出版社はそれで救われる。それが図書館の役目。図書館が少部数版元の状況を知って選書すべき。
    • 今年の春、日本書籍出版協会*3の人から「公共図書館人文書をもっと買ってほしい。少し専門的な、娯楽のみでない本を」ということを言われた。実際TRCではそういう本を買っている。公共図書館での売り上げのうち、142億8千万が人文系版元。割合でいえば79-78%。
      • 図書館が活用される理由に「書店よりも、案外堅い本があるから」ということがある。学校と公共図書館の違いは何かと言うと、両者は同じく知識を与えるところだが、学校は受け取る側に決まったカリキュラムがある。公共図書館を使う人には統一のカリキュラムはない、テーマは個々人で違う。したがって幅広く揃えなくては応えられない。
      • 一方でもちろん予算の制限があるから、選ぶことになる。ただ図書館のホームページ等で出ている選書基準を見ると、どこも抽象的。慎重に選ぶとか、暴力や性的なものを避けるとか、その程度のことしか書いていなくて、どこの図書館も同じような内容。あとは選書にあたる個々の司書のレベル次第。そういうばらつきはあるものの、世間で考えられるほど安易な選び方はしていない。
    • 年間7万件発行される本の中で、TRCではこういう本は買わないという最低限の範囲は決めている。それらを除いた約5万件について、どのくらい売れるか推定して出版社に数を決めて発注している。
      • そういう仕組みを、図書館の人は案外知らない。資料を手に入れてくるのが大変だということを分かっていなかったりする。
      • そもそも資料購入の予算が足りない。全国3,200館合わせて300億ないという状況、少なすぎる。予算を増やして、買う部数をはっきりさせて、買う。それをさらに徹底すれば、問題解決していくのでは。返品が少なくなって出版社の経営も安定して、ユーザにも利益。
    • 著作権者や出版社の利益を図書館が薄めているという指摘についてだが、正直なところそういう面はあると思う。
    • 不特定多数が借りて読む本と、個人が買う本が同じで良い訳がない。
    • ユーザを含めて、著作物へのリスペクトが必要。リスペクトというのはたとえばお金を払うということ。ユーザに無料で貸すことを、図書館が当然の権利のように振り回すのは良くない。
    • その意味で価格に差をつける制度はあり得る。現に電子書籍では成立している。個人でダウンロードする電子書籍と、図書館がユーザにダウンロードさせるのでは、1.3-30倍も差がある。何人に借りられるかの推定を版元がやって、値段を決める。
    • 無料で借りることと、有料で買うことは果たして対立なのか。
  • 湯浅
    • まずは「出版市場としての図書館」という論点を考えたい。先ほどのお二人のお話で「図書館が出版界から見えていない」「出版の側も本を出すときに図書館を市場と想定して部数を考えていない」「TRCが図書館向け流通を作ることで出版界を支えていく」という話題が出ていた。
    • そうは言っても、2011年には「雑司ヶ谷R.I.P」のような件*4もあった。そういった話題*5は、日本書籍出版協会でも持ち出されるのでは。
  • 持谷
    • 著者を大事にしている、関係の深い会社であれば、著者の意向に沿った形で対応するだろう。2003年に調査*6が行われて結論が出たはずだが、それでもまだくすぶっている。
    • では、なぜそう思ってしまうのか。出版社が図書館を知らないことが原因。
    • 貸出猶予のお願いの件では、出版界としても世間に対して良いイメージを与えられなかったのではないか。
  • 湯浅
    • 調査結果があっても、著者側の疑問は根深い。なぜ日本では図書館が市場として認識されないのか。資料購入予算が増えて市場が拡大すれば、それで解決する問題なのか。
  • 持谷
    • 想像の世界でしかないが、本当にそうなれば解決するかもしれない。
    • 出版社はこれから出す本について、3200の図書館にプロモーションしていくべき。それも速くやらなくてはいけない。
  • 湯浅
    • 3,200部刷って図書館に売る、そういう解決策は夢だろうか。
  • 石井
    • 夢とは思わない、可能なことのはず。図書館自身が新刊の購入を制限するというのは間違い。利用者は知識に飢えており、一番要求されるのは提供の早さ。図書館の資料は装備等のため利用できるようになるのにただでさえ時間がかかる。早く提供したいというのは、図書館だけでなくユーザの要求。
    • 売れる、読まれる本ほど待ち時間がかかる。100人以上も予約待ちになることもある。
    • 新刊が出たら、図書館はそれを早く利用者に届けるべき。評判の人気本で、とても待てないなら、それは利用者がお金を出しても買うべき。それが新しい知識へのリスペクト。
    • 公共貸与権とは、新しい知識を作り出してくれた著者側の善意に報いることでもある。図書館はできるだけ早く買う、それでも待たされるなら利用者が自分で買う、というのがいい。本が売れないといわれるのは、人々に読者として出版を支える気持ちが薄いからではないか。
    • 自分自身は、読みたい本を借りることは滅多にない。だいたい買う。買うことで支える。出版物を枯渇させていはいけない。出版社や著者の善意に報いる、という考え方が必要。
  • 湯浅
    • 次に、図書館の買い替え需要というポイントがある。これは特に児童書出版の世界に関わりがあること。(フロアより、児童書で有名な出版社の方を指名)コメントお願いします。
  • フロア
    • 児童書について言えば、図書館は確かにショーウィンドーの役割を果たしている。出版された本をすべて店頭で見ることはできない。図書館でも住民サービスの関係で、児童書はだいたい充実させている。それが売り上げにマイナス影響を与えることが皆無とは言えないが、子どもは一つの本にこだわるもの。一度読んだ本でも、気に入ったら買うことになる。
    • 買い替え需要に関していえば、子どもはかなり手荒いユーザであり、図書館では10冊20冊という単位で買い替えがされる。従って、文芸書のように、図書館によって市場を侵食されているという感覚はない。
  • フロア
    • 図書館と書店は競合するのだろうか。自分は書店の人間だが、図書館を設立する運動にも関わっている。そういう立場から見ると、確かにお互いを知らない。理想と現実にも差がある。
    • しっかりした図書館があれば、確かな出版ができる。本屋も図書館も元気であることが、その町の人にとって大変よい。
    • そのためには、司書と本屋がそれぞれ選書眼をつけることが課題。自ら本を選ぶ力。
    • 一つの例としては、鳥取モデルがあり得る。鳥取県立図書館は、児童書についてはほぼ全点を購入する。これを県内の学校に巡回させることで、活性化を図っている*7
    • 大事なのはとにかく早く届けること、新刊情報を出していくこと。新刊情報に基づいて確かな発注ができれば、返品率も下がる。MARCの統一。
  • 湯浅
    • 新刊情報の話題が出たが、出版の事前情報についてコメントをお願いします。
  • 持谷
    • JPO近刊情報センター*8のような取り組みはなされているが、書誌情報の重要さについて、出版社は少なくとも最近まで鈍感だった。書誌情報は取次が作ってくれていた。それがネットの時代になって、刊行前から情報を出さないとやっていけなくなった。今までやっていた方法では駄目、と分かったのがまさに現在の話。自社の本にNDCをつける発想さえなかった。
    • 逆側からも要望。選書について。最初に出たオリジナルの本がそのまま残っていることは少なく、版を重ねたり文庫版になったりしている。現在はどういう状況で流通していて、最初のものとは何が変わっているか、そういった図書館情報を読者に伝える必要性が増していると思う*9
  • 石井
    • 版元が書誌についてなかなか決めないのが不思議。TRCのデータ部*10からも、早く情報を決めてほしい、出してほしいとよくお願いしている。
    • TRCでは「現在手に入るのはこういうの」というメンテナンス情報も作っている。でも図書館で使っていない。
    • TRCデータ自体は、もともとかなり詳細に作っている。しかし膨大なデータを載せようとすると図書館システムが高くつくため、搭載時にかなり削られている。「こういう情報がなぜデータにないのか」といったクレームがよくあるが、大体システムのせい。でも本来はお金をかけるべき部分だと思う。でないとユーザと図書館員の両方に不便。
    • 図書館にはそういう認識が欠けている。コストを削ればその分プアなものになる。データとしては完璧なデータを作っているのに、活用されていない。
  • 湯浅
    • 別の論点。図書館で育った読者は、書店の購入者になるだろうか。図書館が新たな知を切り開くことはあるのか。
  • 持谷
    • 疑問。「文庫だったら買うんだけど…」という人も多い。借りる人は、買う人にはならないのでは。人生のかなり早い時期からやれば別だが。
  • 石井
    • 本を書く人は、1冊書くには10-20冊読まないと書けない。司馬遼太郎が本を書く時には、そのテーマに関する本が神田の古書店街で買い占められて消えるというエピソードがあった。知を生みだす時には、参照しなくてはならない。早く参照しなくてはならないから買いに行く、というのはあると思う。
  • 湯浅
    • ではここで、図書館総合展オープン当日の日本書籍出版協会理事長のあいさつを動画再生する。
    • (動画再生:あいさつ趣旨)図書館は社会教育機関であり、地域の人の知的な憩いの場でもある。できれば専門書や、小部数の本を買い支えて地元の書店の助けになってほしい。資料購入費は厳しく、スペースも減らされている。お互いに譲り合って話しあう必要。専門書は小部数で、価格も高く、より厳しい状況。たとえばNDLのデジタル化資料のデータを図書館で使えるようにして、その活用実績をもとに「こういう本が必要とされているのです」として予算を増額するといった方法も考えられる。そういうことを、出版界と図書館界で話し合っていこう。
  • 湯浅
  • 持谷
    • 紙で出た本を電子書籍化するという話なら、そのつながり方の仕組みが必要。そういうものが要るなら作っていく。出版界が図書館を「市場」と見れば、実践していくだろう。
  • 湯浅
    • 電子書籍を買うことで、資料費圧縮につなげたいという考え方が行政側にはある。
  • 石井
    • TRCでも電子書籍サービスを提供している*11。利用者のニーズが高いからだが、現時点では不完全な状態。コンテンツが数千点しかない。年間7万点の本が発行される中、この規模では話にならない。
    • 電子書籍は、一般の人がダウンロードする場合にはだいたい紙の本より安い。一方図書館が扱う時は、だいたい紙より高い。1.5〜30倍程度のことさえある。しかも無制限にアクセスできるわけではなく、同時閲覧できるのは3人といった縛りがある。しかも貸出期間を過ぎたら手元からは消えてしまう。
    • 物理的に図書館に行けない人には有効。読書量は増えるはず。予約待ちが多い時に電子書籍が1冊あると利便性が高いかもしれない。
  • フロア(市立図書館の人)
    • 自分はシステム担当で、2年後にリプレースを控えている。その準備で、業者に電子書籍のプレゼンもやってもらった。しかしコンテンツが少ないこと、価格が高いことから二の足を踏んでいる。選書やベストセラーのバランスを考えつつ検討する。
  • 湯浅
    • 時間がなくなってきたので、最後に一言。
  • 持谷
    • お互い知らないことを知るようにしないといけない。出版界に図書館のことを知らせる動きが必要。新しいことをやってマスコミにセンセーショナルに取り上げられるようなやり方だけでなく、本を選ぶということを通して、出版社から図書館へ、あるいは出版界の内部での働き掛けが必要。
  • 石井
    • とにかく資料費が少なすぎるのが課題。利用者をなめてはいけない。長崎市立図書館では、毎週新着資料を棚に並べている。色々な本があるが、翌週にはその棚からなくなっている。どんなマイナーそうな本でも、必ず誰かが借りていくということ。もっと種類を増やさないといけない。


感想。
 時間が足りなかったらしく全体に駆け足だったため、時々xiao-2の頭が追いつかず、とっ散らかったメモになった。それでも印象的だったこと2点。
 1点目として、そもそも図書館側として呼ばれているスピーカーがどこかの公共図書館員ではなく、TRCの元トップの人であるということ自体が示唆的だと思った。特定の図書館や地域の実践ではなく、たくさんの図書館の傾向を把握していなければ、データに基づいて「市場としての図書館」を語ることはできない。
 2点目は、出版社と図書館との関係を考えるのに、その出版社が出している本の特質を無視することはできないということ。ベストセラー偏重批判のような文脈だと「売れる本/売れない本」といった分け方がよくされるが、個々の本の特質の違いはもっと微妙だ。たとえばフロアからの発言にあったように、図書館に置かれることのメリットが非常に大きいのは児童書だろう。子どもは気にいった本は繰り返し読むし、モノとして執着するから読んだことがあってもあえて買うし、大きくなってから自分の子どもに買ってやるという形で超ロングセラーになる。
 この対極を考えてみると、図書館に置かれるデメリットが大きい本の特質も想像できる。二度読まれることがあまりなく、モノとしてよりも中身のデータに価値があり、賞味期限がとても短い本。ぱっと思い当たるのはビジネス書、技術書、マーケティング資料などだろうか。
 フォーラムで話題になっていたとおり、電子書籍の進展と共に二重価格制度(個人が買うのは安く、図書館が買うのは高い)が浸透してきたら、この資料の特質という問題が大きく前面に出てくるような気がする。図書館に置かれるメリットが大きい本は安く、デメリットが大きい本は高くなる、といった形で。

 あれこれ考えたところで、眠くなったのでおしまい。

*1:

知の広場――図書館と自由

知の広場――図書館と自由

高校図書館―― 生徒がつくる、司書がはぐくむ

高校図書館―― 生徒がつくる、司書がはぐくむ

こちらは近刊。

*2:公貸権=公共貸与権。参考リンク:CA1528 - 研究文献レビュー:図書館と著作権問題 / 村上泰子

*3:日本書籍出版協会ホームページ

*4:作家の樋口毅宏氏が、自作の単行本に「半年間は公共図書館で貸出をしないで欲しい」旨のメッセージを出した。参考:asahi.com「新刊貸し出し、半年猶予 高崎の図書館、作者の意向尊重」

*5:同様の対応を取りたいという話?

*6:日本図書館協会日本書籍出版協会「公立図書館貸出実態調査」。報告書はこちら

*7:鳥取県立図書館ホームページ「新刊見本資料について」

*8:JPO近刊情報センター

*9:この部分xiao-2の理解が微妙に追いついていないのだが、なんだか大事な指摘のような気がするので、曖昧なまま書いている。

*10:TRCデータ部ログ

*11:電子図書館サービスTRC-DL