KU-ORCAS講演会「(東)アジア研究×図書館×デジタルヒューマニティーズ」に行ってきた。〜その3
その1、その2の続き。以下はxiao-2の聞きとれた/理解できた/メモできた/覚えていた範囲でのメモ。項目立ては適当。敬称は「氏」に統一。誤記・誤解ご容赦。
- 関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)*1 菊池信彦氏「関西大学KU-ORCASによる東アジア文化研究のためのデジタルアーカイブプロジェクト」
- 他の機関の方からは、実際にやっている話をしてもらった。自分からは「こうなるといい」という希望の話。
- KU-ORCASは、平成29年度の文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」*2により始まった。東アジア文化研究のためのデジタルアーカイブ。
- ブランディングということで「関西大学と言えば東アジア研究、東アジア研究と言えば関西大学」という状態を目指す。
- なぜ東アジア研究か
- 泊園書院という漢学塾があった*3。文政8年から四代にわたって続けられてきたもの。大阪の町人文化の発展。
- 戦後の1951年、創始者の子孫でもある門弟が、蔵書を関西大学に寄贈。東西学術研究所*4となった。
- 漢学塾ということで「東」は分かる。何故「東西」となったかというと、当時の理事長は、東西両文化の比較が重要と考えていた。
- KU-ORCASの前身になったのは、アジア文化研究センター(CSAC)*5。2005-2009年と、2011-2016年の2期。各種のDBを作っていた。
- デジタルアーカイブの文脈としては、『アーカイブ立国宣言』*6で紹介されたような日本の地域資料という観点とはやや異なる。東アジア文化研究のブランディングを目的とするということで、国内に加えて海外ユーザも対象。
- 関西大学の東アジア研究の特徴は、文化交渉学*7。国家や民族の単位を越えること、人文学の諸分野を包括すること。越境性。
- 以上の特徴をまとめると下記のとおり。
- 具体的には、関西大学の所蔵資料のデジタル化や、バチカン図書館との連携*8。
- 3つのオープン化とオープンプラットフォーム
- 今後の見通しについて、個人的な考え
- デジタルアーカイブにおいて越境性ということをいかに提供するか。どういう機能が必要か。
- 「デジタルアーカイブは画像さえ出せばいい、そこから先の資料の分析は人文学がやること」という考え方がある。だがそうは思わない。
- たとえば自分はスペインが専攻。スペインは多言語国なので、各言語の資料を横断的に探せるようにしたい。その部分を機械にさせたい。
- 越境には二つの面がある。Nationalな枠からの越境と、学問分野の枠からの越境。
- 前者は、ユーザの国際化。機能で言えば、インターフェースの多言語対応、研究対象を越境。正確でなくても訳。
- 後者は、一人の研究者が学際的研究を行うこと。参考資料の表示、複数分野の研究者が、共同で資料を読むことのできる環境。アノテーションや、コミュニケーション。
- こういった機能を色々今後開発していきたい。
- まとめ
- 本日の話の中で図書館が出てこなかった。図書館の資料をデジタル化するという話題は出てきた。図書館との連携も視野に入っている。しかし、今のところ図書館側にはあまり関心を持ってもらえていないように感じる。
- 自分は以前図書館に勤めていた。その立場にいた時は、デジタルヒューマニティーにおいて研究者と図書館が協力するのは当然だと思っていた。しかし外に出てみると、考え方が違う。
- 学内連携をどこまで進めることが必要か。図書館に対してどうアプローチするか。学内に波及していくためにどうするか。色々と考えている。
3つめのメモはここまで。続きはそのうち。
*1:関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)
*2:平成29年度「私立大学研究ブランディング事業」選定事業一覧
*6: アーカイブ立国宣言: 日本の文化資源を活かすために必要なこと
*7:この語は自分には馴染みが薄いのだが、参考になりそうな本があった。あとで読む。 文化交渉学のパースペクティブ (関西大学東西学術研究所研究叢刊)
*8:2017年9月に、関西大学はバチカン図書館と協定を締結している。詳細はこちらを参照。2017/10/06付け関西大学プレスリリース「バチカン図書館と東アジア関連資料の研究における協定を締結」
*9:IIIFって何?という方はこちらを参照。2016年4月28日 digitalnagasakiのブログ|今、まさに広まりつつある国際的なデジタルアーカイブの規格、IIIFのご紹介
*11:このへんxiao-2のメモはいい加減だが、大学ホームページにちゃんとした説明がある。研究体制|関西大学アジア・オープン・リサーチセンター