2015年はどんな年?

 あけましておめでとうございます。
 毎年の初めに前年を振り返る記事を書いているが、2014年はわずか16回の更新。己のぐだぐだに恥じ入るばかり、振り返る程の内容もない。
 いっそ開き直って、もっと大きなスパンから振り返ってみる。

 平成15(2003)年9月施行の地方自治法*1一部改正によって、公の施設の管理方法として指定管理者制度が始まった。それから12年。
 最初の導入館がどこか忘れた*2が、日本図書館協会の調査*3によれば、2005年度までの導入は市区町村立図書館で11館。それが2014年度までに、予定も含めると426館で導入されている。
 だいたい5年くらいの期間で始めるところが多いから、早々に導入していた図書館では現在2サイクル目に入っているだろう。同調査の2007年度のものを見ると、その時点では指定管理者は公社・NPOが多いが、サイクルの切れめで民間企業に移行するケースはよく目にする*4。そういうパターンなら、図書館にとっては2サイクル目だが、指定管理者にとっては1サイクル目となる。
 ちなみに指定管理者制度とよく並び称せられる、PFI法による図書館の最初の例は桑名市*5。開館は平成16(2004)年10月*6とのことで、11年目となる。運営期間は平成46(2034)年まで*7
 導入を決定したトップが当時50代の人ならば、現在は定年を迎えるか間近だろう。導入時に働き始めたスタッフが当時20代の人ならば、現在は30代半ばくらいか。

  • 子ども読書活動*8推進法成立・施行から14年。

 「子どもの読書活動の推進に関する法律」が成立及び公布・施行したのは平成13(2001)年12月。これに基づき、平成14(2002)年8月に「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が策定された。また同法を受けて「学校図書館図書整備5ヶ年計画」が策定された。その後平成19(2007)年度、24(2012)年度にも新たに5ヶ年計画が実施されている*9。もちろん計画だけでなく、これをもとに国・地方で色々な取り組みが行われている*10
 2015年には、法成立当時6歳だった子どもが20歳になる。つまりこの法律に基づいて行われた様々な取り組みを受取りつつ成長したひとが、社会参加していくことになる。

 電子書籍元年と騒がれた2010年。その年にどんなことがあったかは、こちらに詳しい。

Internet Watch 関連記事インデックス“電子書籍元年”の2010年を振り返る

「2014年電子書籍市場は3000億円、2009年比で467.1%増」という未来予測の記事タイトルを見て、実際どうだったのだろうと探してみた。2010年時点での予測はこちら*11、そして同じ会社による2014年時点でのレポートはこちら*12。予測ほどは伸びなかったということのようで、原因は「提供コンテンツが限られていたことや、閲覧に適した端末の普及が進まなかったこと」とされている。
 そう言えば2010年頃に更新した図書館システムでは、仕様書に「電子書籍に対応できること」といったふわっとした項目を盛り込んでいるものが時々あったように思う。無視はできないものの、まだデファクトスタンダードといえるほどの規格がなく、指定できなかったのだろう。その状況は現在も大きく変わってはいないと思われる。逆に、当時特定の製品を指定してシステムを導入していた館はどうなっているだろうか。

 国立大学が法人化したのが平成16(2004)年4月。6年ごとの中期目標の策定・実施・評価が行われるようになった。平成16(2004)年度からが第1期、平成22(2010)年度からが第2期となり、2015年はちょうど第2期目の終りとなる。

 「図書館の自由に関する宣言」が採択されたのが昭和29(1954)年、改訂されたのが昭和54(1979)年。採択、改訂の経緯など色々な機会に振り返られている*15
 採択に直接関わった人はかなりご高齢となり、改訂に直接関わった人もおおむね現役から退いている頃だろう。*16。現在図書館で働く世代にとっては宣言は所与の条件として学んだものであり、一方で以前の記事*17で取り上げたように、図書館の人以外にはいまだにあまり認識されていない。

 Googleが書籍内テキストを検索できるサービスを最初に始めた(と発表した)のは、2003年のことらしい*19。当時は「Google Print Beta」と呼ばれていた。以降のGoogleの動向について見渡してみようと思ったが、膨大すぎて手も足も出ない*20。とりあえず2007年度時点での動向レビュー*21があったので、当時を懐かしみつつ現在と比べてみるのがよいかもしれない。
 体感としては、平成21(2009)年度からの国立国会図書館大規模デジタル化*22と相まって、「本のタイトル等で適当に検索すると何かしらGoogleブックスもしくはNDLサーチの書誌情報がヒットする率の高さ」という意味では、かなり普及したのではないかと思う。もっとも検索エンジンにはユーザの癖が出るから、一般的な傾向かどうかはなんともいえない。

 2009年に、全国図書館大会U40プレミアセッション*23という若手図書館員の集うイベントがあった。それから6年。若手と呼ばれた人も、職が変わっているかもしれないし、同じ職場なら色々な意味で若手よりは中堅と呼ばれる側に近くなりつつあることだろう。
 当時参加した自分の感想*24を今読むといかにも青臭くて気恥ずかしい。当時見えなかったものも見えてきて、企画の限界も分からないではない。それでも、当時やむにやまれず行動したひとたちの思いは今もありがたく思う。

 もう4年。
 まだ4年。
 阪神・淡路大震災からは20年。


 「あのころの未来に ぼくらは立っているのかなぁ…*25」。
 自分の紡ぐ現在が、良き未来の過去となるように。そんな思いをこめて、今年もぐだぐだブログを更新する。本年もよろしくお願いします。

*1:地方自治法(昭和二十二年四月十七日法律第六十七号)

*2:たぶん文献を見れば分かるのだろうが、手元にない。

*3:日本図書館協会指定管理者制度導入2014調査(PDF)」

*4:企業からNPO・公社への移行は滅多に見ない。あくまでxiao-2の観測範囲だが。

*5:財団法人関西情報・産業活性化センター「NPMに基づく先進的アウトソーシング事例|日本初の図書館PFI事業

*6:桑名市立中央図書館ホームページ|図書館概要

*7:桑名市ホームページ|桑名市図書館等複合公共施設特定事業

*8:文部科学省ホームページ|子どもの読書活動推進ホームページ

*9:ちなみに似たような名前の計画はこの時初めてできたものではないらしく、平成5(1993)年にも小・中学校の学校図書館の蔵書を1.5倍にする図書充実施策が行われている。参考:全国学図書館協議会ホームページ「学校図書館図書整備費の完全予算化をめざして

*10:具体的な国・地方の取り組みを知るのに便利そうなサイトがあった。:国立国会図書館国際子ども図書館 国内の子ども読書活動推進計画

*11:2010年電子書籍市場は前年比19.3%増の631億円――富士キメラ総研調査

*12:電子書籍市場は2017年度に2343億円規模へ――富士キメラ総研調査

*13:文部科学省ホームページ|国立大学法人等

*14:日本図書館協会ホームページ|図書館の自由に関する宣言

*15:ネットで読めるものだと、2005年度特別研究例会報告(日本図書館研究会)や、日本図書館協会2005年度中堅職員ステップアップ研修「図書館の自由」レジュメ(南亮一(国立国会図書館))」に詳しい。

*16:調べた訳ではないので、現役の方いらっしゃいましたら失礼の段ご容赦ください。

*17:2013-05-11「図書館戦争」の、本当にあるところ。

*18:Wikipedia:Googleブックス

*19:CNET Japan 2003/12/18付け記事「米アマゾンに宣戦布告か--米グーグル、書籍検索「Google Print」をテスト

*20:知見と根性のある人は、以下のサイトで該当記事のレビューをどうぞ。カレントアウェアネス・ポータル

*21:図書館研究シリーズNo.40『米国の図書館事情2007−2006年度 国立国会図書館調査研究報告書』より「5.1 Googleの動向 〜Scholar、Book Searchを中心に〜

*22:成果が見られるサイト:国立国会図書館デジタルコレクション

*23:全国図書館大会U40プレミアセッション

*24:2009-11-01「U40プレミアセッション東京会場に行ってきた。

*25:スガシカオ作詞「夜空ノムコウ」より