成田市立図書館でプロポーズ、じゃなく、プロポーザル

 成田市立図書館*1でシステム構築委託の公示が出ていたのに、今頃気づいた。

第6次図書館システム構築委託 平成24(2012)年1月17日(火曜日)公示

 成田市立図書館と言えば色々面白いWebサービスをしているところ*2。さぞや面白いに違いないと眺めたら、案の定なかなかすごい。
 技術には疎い自分だが、興味深く感じた点をいくつかメモ。

 まず、仕様書が盛りだくさん。圧縮ファイル5つの中に、帳票設計から機能要件からハードウェア要件から、ネットワーク構成図に契約終了時のデータ返還の規定に至るまでぎっちり詰まっている。技術に疎い自分には、仕様書そのものの出来がいいのかどうか本当には分からないのが残念だが、必要なものがかなり揃っているという印象を受ける。第一、公示の時点でここまでWebに掲載しているケースはあまりない気がする。

 ドキュメントを見ていく。募集要項の最初の方に、「システムに求められる効果予測」とあるのが目を引く。

■システムに求められる効果予測(導入後の見通し)
1)Web サイトの滞在時間を2 倍にする。
2)自動貸出機利用を9 割にする。
3)自動返却機の利用を9 割にする。
4)予約棚利用貸出を本館受取分の9 割にする。
5)コンテンツ(書誌データ)作成の時間を1 書誌当たり現在より4 割削減する。
6)横断検索の結果表示までの時間を1/2 にする。

 システム導入の目標を書いたドキュメントは多いけれど、こういう数値で目標を示すものはあまり見たことがない。少なくとも自分は。Webサイトの滞在時間を長くするというところに、サイト運営についての方針がはっきり見えて面白い。欲しいものを探すだけでなく、見て楽しいサイトにすることを目指しているんだろう。


 要件を眺めると、単にOPACを作るというレベルの話ではない。委託業務の中には貴重資料のデジタル化や、電話の自動応答振り分け機能まで入っている。予約棚によるセルフ貸出サービスというのもある。システムの要件だけでなく、この部分は職員がやり、ここはシステムで自動化するといった業務フローがきちんと書かれているのが分かりやすい。
 図書館システムとしての機能は、テーマやレファレンス、パスファインダーと資料との連携などなど目いっぱい。現在の貸出履歴機能やレコメンド機能も継続する上、書評を投稿できる機能もβ版としてつけるらしい。これは利用者がハンドルネームで投稿し、荒れないように職員がある程度コントロールするというもの。
 すごいなぁと思うのが、仕様書からこうした機能の「使い方」がイメージできることだ。パスファインダーと資料の連携や書評投稿機能そのものは、他のシステムでも時々見かける。きっと機能自体はそんなに難しいものではないのだろう。だが、活用できるかどうかは中の人にかかっている。パスファインダーが作られなければ意味がないし、書評も放ったらかしでは寂れたり荒れたりする。
 仕様書の時点で中の人の役割が明記されているということは、ただ機能をつけるだけでなく業務としてきちんと設計されている。中の人がちゃんとコントロールしていくという意思の表れに見える。


 そうそう流行りの電子書籍対応は?と探すと、ソフトウェア要件に小さく書かれていた。

青空文庫をシステムに取り込みができること。

 おおっそうきたか、という感じだ。最近電子書籍を取り入れる図書館が少しずつ増えてきているが、一方でタイトル数の少なさやフォーマットの不統一などが指摘されてもいる。だったらテキスト自体は青空文庫から持ってきて、それの見せ方で工夫しようというのは合理的な発想だと思う。


 説明会はもう終わっているらしい。どんな面白いものができるのか、よそながら楽しみだ。