電子書籍をきっかけに気付いた、電子でない中の人のこと。
本日、カレントアウェアネスでこんなニュースを見つけた。
興味が湧いたので、町のHPをあちこち眺めてみた。この図書館では23年度の目標として、電子書籍の導入の他にも、「絵本による地域活性化」「図書館コンシェルジュの実施」というのが挙がっていたようだ*1。図書館コンシェルジュといえば思い出すのはもちろん千代田区立図書館。電子書籍貸出しといい、先駆者として意識してるのかもしれない。
さて、その図書館コンシェルジュは今年に入って募集がかかっている。
ここで「緊急雇用対策」という言葉が目を引く。Wikipediaによると厚生労働省でやってるものらしい。というわけで、厚生労働省のHPをチェック。
雇用創出の基金による事業|厚生労働省
地域の雇用失業情勢が厳しい中で、離職した失業者等の雇用機会を創出するため、各都道府県に平成23年度末(重点分野雇用創造事業は平成24年度末)までの基金を造成し、各都道府県及び市区町村において、地域の実情や創意工夫に基づき、雇用の受け皿を創り出す事業を行っています。
そこでふと気付いた。どうも自分、有田川町の名前に聞き覚えがある。
確認してみたら、以前のエントリの後半でちょこっと触れていた。重点分野雇用創造事業で地域人材育成事業として、平成22年度に図書館司書の養成を行ったそうだ*2。こちらの事業は平成22年の4月から始まっている。さきのコンシェルジュ募集は緊急雇用創出事業で雇用するもの、こちらは重点分野雇用創造事業で人材育成、ということだろう。
Wikipediaの説明や、他の自治体での募集等も見ると、この緊急雇用創出事業には特徴がある。それは短期雇用を前提とした期間限定事業であること。そもそも基金自体が、厚労省のHPによれば24年度までの基金と書かれている。もっともそう言いながらも創設された20年度以降続いてきているらしいが、震災もあった今年、諸々の予算が切り詰められる可能性はある。
また雇われる人は現在失業中の状態でなければならないし、他の緊急雇用創出事業で働いたことがあってはいけないらしい。つまり今回コンシェルジュになった人が、再来年にも同じ仕事をする保証はない*3。もっとも緊急雇用創出事業が終了する24年度末時点で、コンシェルジュ業務が通常の町の予算の中に組み込まれるのかもしれないけれど。
ちなみに、平成21年度の新図書館(有田川町地域交流センター(ALEC))オープンに伴う図書館職員は非常勤での募集。いずれも一年ごとの契約だ。
有田川町には行ったことがないが、新しい図書館がオープンしたこともあり、色々な図書館施策に力を入れているようだ。元のニュース記事で取り上げられていたALECのブログ*4にもなんとなく勢いがある。今「中の人」が元気なんだな、と思う。
電子書籍が導入されようと、それをユーザとつなげて良くしていくのは中の人の役割。ずっと元気な図書館でいてくれるよう、遠目ながら2年後、3年後も注目していきたい。
*3:というより、同じ人がその枠組みで働き続けてはいけない仕組みになっている、と理解した。