公契約条例と、指定管理者

 千葉県の野田市で、図書館の指定管理者を募集しているのを見つけたのでメモ。

野田市ホームページ 指定管理者を募集します

 なんで自分がこの募集に注目するかと言うと、野田市は平成21年に公契約条例が成立した自治体だから。

野田市公契約条例 平成21年09月30日 条例第25号
野田市公契約条例施行規則 平成21年11月17日 規則第45号

 公契約の考え方や成立の背景については、以前日本図書館協会の松岡さんのお話*1で詳しく伺ったところ。
 自分の理解で超要約すると:普通行政で何か発注する時は安い方が望ましい訳だけれど、請負業務の場合に価格だけで競争させると、会社によっては競争に勝つため働く人の待遇を下げてしまう。それだと社会全体にとって幸せな結果にならないので、行政の方で「働く人に最低これだけの待遇はしなさいよ、それより悪くするような会社とは契約しないよ」という縛りを設けるという考え方。

 ということを頭におきつつ、掲載されている募集要項を見てみる。

6 公契約条例の適用(4p)
野田市では、公契約に係る業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図るため野田市公契約条例(平成21年野田市条例第25条)を制定しました。同条例第15条の規定により、当該施設の指定管理者の候補者を選定するに当たり、当該指定管理業務に従事する労働者の賃金を評価項目とします。<中略>賃金については、市長が定める最低額以上の賃金を支払うものとします。

 ふむふむ、公契約条例が適用されている。
 ちなみに募集要項の6p「契約実績」を見ると、平成22年度には適用していなかったらしい。本来指定管理者制度は「契約」ではなく行政処分に当たるので、公契約の考え方がそのまま適用されるとは限らない*2。とは言え実質的には契約と何が違うんだか分からないし、そもそもの考え方からすれば適用されることになって別に不思議はない気がする。

 で、気になる賃金の最低額。

 単位:円/時間
 図書館業務に従事する者 1,096円
 ※司書資格を有していない場合でも、図書館業務に従事している者は対象とする。

 他の業務について定められた最低額がいずれも800円台なのに比べると、結構高い。仕様書13pの要求水準では

図書館長については司書資格保有者、図書館長経験者または同等の能力があると認められるものを雇用し、その他の職員については司書資格保有者など専門的な業務を執行できる能力を有するものを必要数雇用し、業務に支障のないようカウンターに要員が配置されていること。職員の70%以上が司書資格を保有していることが望ましい。

 ともあるから、それなりの専門性がオーソライズされ、求められていると思ってよさそうだ。

 ついでに要求水準のこの後の部分では、勤務者の研修については自主的に行うと同時に、興風図書館と協力しながらやっていくこと、という趣旨が定められている。仕様書の他の箇所でも、興風図書館の関わる部分があちこち定められている。興風図書館が中央図書館で、そこがある程度コントロールすることであまり極端なことにはならないようにバランスを取っていく方針なんだろう。


 さて野田市立図書館と言えば、図書館業務に関しても色々話題のあるところだ。
 2010年にいちはやくカーリルとのOPAC連携で話題になっていた*3。カレントアウェアネス・ポータルを見ると、昨年あたりから他にも色々な取組みをされているようだ。

Code4Lib JAPAN、日本の図書館におけるICT活用のグッドプラクティスを選定・公表
県立図書館の蔵書を市立図書館のOPACから予約・取り寄せできるサービス(千葉県)

 ホームページ*4もなかなか充実している。行ったことがないのが残念だが。


 市民でも関係者でもないけれども、いい会社さんが来てくれることを願ってやまない。