ユルユルな入手手段調査再び〜もしドラ篇

 先日の記事「KAGEROUの入手手段について、ユルユルな調査」に引き続き。やっぱり気になったので、盆休みの自由研究代わりに調べてみた。べ、別にブックマークで「面白い」とコメントされて調子に乗った訳じゃないんだからねっ。

 今回のターゲットは、図書館予約ランキング*1第2位のこちら。

 ブクログレビューは2677件(2011/08/15確認)。さすがビジネス書、レビューの数がひと桁違う。
 で、前回と同じくこれを1件1件眺めて、内容を読んで、本の入手手段を書いてあるかどうか判断して、結果をExcelで集計。数が多い上、KAGEROUに比べ長文のレビューが多くて面倒だった。
 集計ルールは前回と同じ。リンクのみのレビューのリンク先は確認しない、書店や図書館らしいアカウントも1件。勉強会等で感想を共有しているらしく、1件のレビューの中に複数人が感想を書いているものもあった。これも1件。かつ、入手手段が絞れないので「不明」とした。

  • 全体の結果

 入手手段を書いていたものは326件。パーセンテージにすると12.1%、KAGEROUよりわずかに低い。全体の印象としては、KAGEROUでは「なぜこの本に関心を持ったか」「どうやって手に入れたか」の背景の書かれる比率が高かったのが、もしドラではいきなり内容についての感想から入っているレビューが多いように感じた。

  • 有料か無料か?

 入手手段が分かるレビューのうち、レビューを書いた人が自らコンテンツの対価を払っているものは「有料での利用」、そうでないものは「無料での利用」と考えた。件数は以下のとおり。

・有料:215件(65.9%)
・無料:111件(34.0%)

 KAGEROUの場合、有料:無料は4:6くらいで、無料で読んだ人の方が多かった。もしドラでは有料で読んだ人の方が多い。もっとも、そもそもレビューに入手手段を書いている人の割合が少ないので、これだけで判断するには少々頼りないのだが。

  • 有料の内訳

 もしドラは紙の本以外に、電子書籍やオーディオブックでも出ているらしい。で、有料の内訳はこんな感じ。

・購入:123件(57.2%)
電子書籍:90件(41.8%)
・オーディオブック:2件(0.9%)

 判断基準としては、買ったことが分かるものは「購入」、その中で電子書籍だのオーディオブックだのが明記されていたものだけをそれぞれの項目にカウント。したがって「購入」の中には電子書籍派もいるかもしれない。
 電子書籍で読んだ人の割合が案外多い。ただし、電子書籍で買った人の方がわざわざレビューでそのことに触れる傾向があるだろうから、これも鵜呑みにはできない。普通に書店で買った人はいちいち入手手段を書かないだろうし。

 ちなみにレビューを読むと、電子書籍で買った理由は大きく三つに分けられそうだ。
 1点目は価格。紙の本では1,680円、電子書籍では半額の800円だった。
 2点目は表紙。電子書籍派に限らず、レビュー全体で「萌え絵の表紙に抵抗がある」「書店で買いにくい」「電車で読みにくい」という声がかなりあった。ラノベ風の表紙は印象的だけれども、日頃ビジネス書を買う層には恥ずかしかったらしい。これが理由で電子書籍を選んだという声もちらほら。
 3点目は、電子書籍自体の物珍しさ。レビューに直接そういう理由が書かれていた訳ではないが、やはりiPhoneiPadで読書するという体験自体が物珍しくて試してみたという感じの声はあった*2

  • 無料の内訳

・借りた:74件(66.6%)
・立ち読み:7件(6.3%)
・もらった:6件(5.4%)
・図書館:24件(21.6%)

 前回は見かけなかった入手手段として「もらった」が出現。
 そもそもこの本のレビュー全体として、人に薦めた・薦められた・薦めたいといったコメントが多かった。KAGEROUの時にはなかった傾向だ。「気に入ったから知人にあげるために複数冊買った」というコメントもちらほらあったので、受け取った側から見れば「もらった」に当たる訳だ。「借りた」「もらった」にも、お金を払って購入するほどではないからという消極的な場合と、他の人が推薦つきで貸してくれる・くれるという積極的な(?)場合が考えられるのだな、と発見。
 ちなみに貸してくれた・くれた人は家族、先生、上司、同僚、友人、彼氏、等等。父親から薦められたとか、子どもが学校の課題で買ってきたので読んだとか、家族の影響が強いようだ。中には内定先の会社から送られてきたというケースもあった。
 ちょっと変化球のケースとしては「飲食店に置いてあって読みかけたのを、後で図書館で借りなおして読んだ」「図書館で読んだが、後で手元に置きたくなって買った」等。カウントとしては本との最初の出会いで分類しているので、前者は「借りた*3」、後者は「図書館」としている。

 ちなみに図書館で借りた人のうち予約した人については、貸出までにずいぶん待ったという声が多かった。待たされた期間が書かれたコメントとしては予約から3日、1ヶ月、3ヶ月、半年、8ヶ月、1年(!)というものまで。600人待ちだったというのもあった。うーん、みんな根気強いね。
 一方で、たまたま図書館で目にして借りたという声も。タイミングの問題ですな。

  • その他どうでもいい話
    • これだけの数を扱ってみると、入手手段が書かれているかどうかの判断を人間がやる限界も感じる。明記されていないけど書店で買ったように思えるんだが…等、迷いが生じる。元のデータはコピペで手元に固定してあるが、同じものを他の人がカウントすると判断が多少ぶれてくるかもしれない。
    • 本を読もうと思った「動機」と関連づけられたら面白そうだな〜と思って、やりかけた。だが背景まで立ち入ると、レビューをかなり読解しなくてはいけないことが判明して途中で断念。
    • 全体のレビューの傾向として、文体が短文ばかりで単調だったといった評があった。が、iphoneiPadで読むにはそういう短文の方が都合が良いはず。たとえば電子書籍で読んだ人は文体をあまり気にかけない、といった傾向があったら面白かったのだが、特に読みとれず残念。
    • もしドラを読んだ結果、ドラッカーを買った・読みたいという声がかなりあった。電子書籍なら抱き合わせ販売が容易なので、より効果的だろう。
    • 読んでるうちに、もしドラを飛び越えてドラッカー読みたくなってきた。恐るべしレビュー。


 以上、夏休みの自由研究でした。

*1:以前の記事「図書館で予約の多い本は?」による。

*2:すみません、これは雰囲気。

*3:飲食店なので、図書館以外から借りたと考えた