図書館で予約の多い本は?
気がつくと一ヶ月も沈黙。被災でも自粛でもなく、いつものぐだぐだ故。震災が来ようがGWが来ようが変わらぬ自分の怠けっぷりである。
さて、先日こんなニュースが出ていた。
2011年5月12日 asahi.com
「新刊貸し出し、半年猶予 高崎の図書館、作者の意向尊重」
この作者の方の呼びかけについては、2月頃にTwitterでも話題になっていた。
無理矢理二分すると、「図書館に置くから売れない」派と「図書館に置くからこそ売れる」派の意見が出ている。
で思ったのは、実際に人気のある本を図書館で借りてる人はどう思ってるんだろう?ということ。考えてみると、そちら側の意見を可視化するのはすごく難しいことのような気がする。
まず「人気のある本」の定義。売り上げランキング上位本が、図書館でも人気のある本だとは限らない。そりゃ書店で人気のある本は図書館でも人気だろう、くらいのことは言える。けれども買わずに借りて読もうと思う人が、書店の売り上げに影響するくらいの数居るとしたら、そもそも売り上げデータに基づいて考えるのはおかしなことになる。売り上げランキング上位に出てくるのは「図書館で貸し出しているにも係わらず超売れた本」だけなのだから。
また、それを読んだ人の意見を聞くのはもっと難しい。簡単に考えれば図書館でその本を借りた人にアンケートだけど、まず図書館の貸出データから特定の本を読んだ人にアンケート取るのはいろいろ障害がありそう。自分がされたら何となく嫌だろうしね。
とは言え、なんとか調べる方法はないものか。ちょこっと試行。
まず政令指定都市立図書館19館のHPをチェック。なぜ都道府県立でなく政令指定都市かというと、都道府県立図書館は市町村立との役割分担で、持っている本の傾向が違うことがあるから。人気本でも一冊しかおかない規定にしていたりする。なぜ市町村立でなく政令指定都市かというと、もちろん全国3,000館とかチェックしてられないから。
すると、うち18館で、なんらかの形で「今予約の多い本」のランキングを見られることが判明。
・札幌市図書館 一般書の予約ベスト
・仙台市図書館 一般書の予約ベスト
・さいたま市図書館 一般書の予約ベスト
・千葉市図書館 予約ベスト一般書
・横浜市立図書館 予約の多い本50
・川崎市立図書館 蔵書検索 予約ベスト
・(相模原市立図書館は、予約ランキングが見当たらず)
・新潟市の図書館-予約多数本
・静岡市立図書館 ベストリクエスト
・浜松市立図書館 一般書の予約ベスト
・名古屋市図書館 予約ベスト一般図書
・京都市図書館 人気の本
・大阪市立図書館 最近の予約ベスト30
・堺市立図書館 予約ベスト一覧
・神戸市立図書館 予約の多い本
・岡山市立図書館 寄贈のお願い
・広島市立図書館 予約BEST20*1
・北九州市立図書館 ランキング一覧 予約ベスト
・福岡市総合図書館 予約ベスト一覧
妙に似たようなレイアウトの画面が多いのは、たぶん同じベンダーさんのシステムを使っているのだろう。「予約の多い本」を人気のある面白い本と説明するか、提供までにお待たせしてしまう本と説明するか、足りないので寄贈してほしい本と説明するかが自治体によって違うのが面白い。
データを取ったのは2011/03/06。HPに月次のリストで載せている場合もあれば、OPACの機能として日次で予約の多い本のデータを出力できるようになっている場合もあるようで、厳密に同じタイミングのデータという訳ではない。だが所詮シロウトなので気にしない。
かつ、上位何件まで表示するかも図書館によってばらばら。そこでデータをExcelにコピーペーストして、上位10件までにぶった切ってマージし、集計。どこかの図書館の10位以内にランクインしていれば1点として勘定。荒っぽい仕事だ。だが所詮シロウトなので気にしない。
ということで、政令指定都市立図書館18館での予約多数本10位までは以下のとおり(2011/03/06時点のデータ)。
- 1位(18点)
- 作者: 齋藤智裕
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- 2位(17点)
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
- 作者: 岩崎夏海
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/12/04
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- 3位(11点)
- 作者: 東川篤哉
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/02
- メディア: 単行本
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- 4位(10点)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/04/16
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- 作者: 東野圭吾
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- 作者: 宮部みゆき
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- 作者: 湊かなえ
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- 8位(9点)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/05/29
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- 9位(8点)
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 光文社
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- 10位(7点)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/05/29
- メディア: 単行本
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- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 光文社
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ふーん、思ったより偏っているなぁ。1Q84人気はまだまだ強し。作家だと、東野圭吾氏、湊かなえ氏強し。
一方、これらの本を読んだ人がどうやって本を入手したか。いちいち聞いて回る訳にはいかないが、本の感想ならば分かる。ということで、ブクログを覗いてみる。
・KAGEROU
・もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
・謎解きはディナーのあとで
・1Q84 3
・プラチナデータ
・小暮写眞館
・夜行観覧車
・1Q84 1
・あの頃の誰か
・1Q84 2
・カッコウの卵は誰のもの
ざっと見た感じだと、本の入手手段について触れている人もちらほらいる。「予約の順番がなかなか来なかった」と書いているのはきっと図書館で借りた人だろうと考えられる。「買うほどでもなかったので借りた」と書いている人は、たぶん借りられなかったとしても買わないだろう。「予約したけれど待ち切れずに買った」という人は、図書館で貸し出していなければすぐに買ったのだろうか?
これらのレビューをざーっと見て回って、入手手段を書いているもののうち図書館で借りたものが何件か、そのうち図書館で借りられなければ買ったと思われるのが何件か、というのをカウントしてみると何か分かるのかもしれない。…実は途中までそういう作業をやりかけてみたのだが、一冊あたり数千件も見てられない。所詮シロウトなので諦めた。
それにしても、なにかいい方法がないものだろうか。
*1:「広島市立図書館 ゆずってくださいこんな本」というのもあり