文科省の報告書を見てのあれこれ。

 本日は、ほんとにただのメモ。
 文部科学省のHPに、21年度の調査研究報告書が2件載ってた。斜め読みした感想など。

図書館・博物館等への指定管理者制度導入に関する調査研究報告書

 業務委託についての議論が制度自体の批判に傾きがちで、よりよい方向に持っていくための実証や検討をあんまり見ない気がする。てなことを、以前の記事「前向きな委託の話をしよう。」で一度考えた。
 その視点で見ると、この報告書は割と中立的な視点で書かれていて良い。直営と指定管理、それぞれの特徴と気をつけるポイントを指摘してくれている。どちらを選ぶという問題以前に、自治体としてどんな図書館にしたいのかという方針が必要だ、という。そんな当然すぎることがきちんと書かれている。基礎知識を得るには使いやすいと思う。
 ちなみに、図書館の委託契約仕様書って結構Webでも見られるのだ。*1この報告書の骨組みを踏まえて、幾多の仕様書を読みまくって、仕様書作成のガイドブックとか作ってくれないかな、誰か。と他力本願。

図書館におけるリスクマネージメンントガイドブック

 クレーム、犯罪から災害に至るまで、図書館で起こりうるありとあらゆるリスクが取り上げられている。図書館好きな人が読めばたぶんブルーになるくらい、詳しい。
 だが自分が注目したのは書かれていることではなく、書かれていないこと。というのは、先日こんな事件の報を目にしていたから。

「岡崎市立中央図書館サーバー事件」まとめ
岡崎図書館事件まとめ

 超要約すると、市立図書館のHPに自動的にアクセスするプログラムを作ったらサーバが落ちて、作った人が逮捕されてしまったという事件。Twitter等でずいぶん話題になっていた*2。自分は知見もないので、事件そのものについての意見は述べない。なんとも不幸な話だなぁとは思うけども。
 そこでくだんのガイドブックに戻る。すると、業務上のさまざまなリスクが挙げられている一方で、サイバー攻撃とかシステムを介した個人情報流出といった、システムがらみのリスクについてまったく記述がない。つまり、図書館に起こりうるリスクとしてそういう方向のはそもそも想定されていないのだ。
 想定していない、の主語は誰なんだろう。このガイドブックはいくつかの図書館への聞き取り調査をもとに作られているらしいが、調査対象になった図書館の人か、聞き取りを行った調査会社か、調査の概要を決めたであろう文部科学省の人か。どこかしらに、不幸な事件を起こらなくさせるヒントがありそうな気がする。

 以上。特に落ちはないよ。