最近読んだ本。

 ちゃんと感想書きたい、などと言って溜めておくと結局忘れてしまう。脈絡もなく羅列。

七秒しか記憶がもたない男 脳損傷から奇跡の回復を遂げるまで

七秒しか記憶がもたない男 脳損傷から奇跡の回復を遂げるまで

 突然の脳障害で、記憶することができなくなった指揮者。その妻の書いたノンフィクションだ。そう聞くと病に耐えて夫を支え…と涙々の浪花節的なノリを予想する。
 もちろん夫の介護も大きな要素だが、しかし著者のバイタリティは予想の斜め上をいく。医学文献を読みあさり、専門家にインタビューをする。記憶障害の患者に適切な介護サービスの設置を求めて社会運動を起こし、ドキュメンタリー番組で世論に訴え、ついに政府を動かす。「闘病」というけれど、闘う相手は病気そのものだけじゃないのだと思い知らされる。
 活動の始まりになったのが医学部図書室だということも注目ポイント。日常にあるもろもろの危機に対処するための場所として、図書館(室)が機能している。


チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光

 出てくる人物のキャラクターが実に鮮やかで面白い。こりゃ映画にもなるわ。書いた人が医師だけに、病院の裏話も面白い。院内の誰もが一目置く裏番長な看護師さんとか、実際いるんだろうな。
 ただ肝心の謎解きにも医学的な知識が絡んでくるので、ちょっとすっきりしない部分はあった。「〜は不可能」と登場人物に説明されれば、素人の読者としては「できないんだ」と思うしかない。それを後で「実はこういう方法を使えば可能です」と言われてもなぁ、とは思う。話が面白いのでどうでもいいけど。


Googleの正体 (マイコミ新書)

Googleの正体 (マイコミ新書)

 帯の文句「Googleは何がしたいのか?」に惹かれて購入。成長戦略についての分析はなるほど。ただし、結局「何がしたいのか」ははっきり書かれていなかった。著者は中の人じゃないから当然だが。Googleが暴走すればどんな危険があるかを指摘しつつも、利益でなく使命のために動くという姿勢自体には好意的な評価だった。
 しかし、意地悪な見方をすればそれが一番怖いとも言えまいか。金のために暴走する人は金で解決できることもあるが、信念で暴走する人は止めようがないよね。


会社人間だった父と偽装請負だった僕―さようならニッポン株式会社

会社人間だった父と偽装請負だった僕―さようならニッポン株式会社

 高度経済成長期とバブル崩壊という大きな社会の動きが、個人の体験に裏付けられて見えてくる。カイシャが共同体であった時代と、そうでない時代。どちらが良いとも悪いとも決めつけない姿勢に、かえって色んなことを思う。そしてそういう時代を生きてきた親への愛情と反発。泣いた。
 自分と違う世代の人について考えたい時、読むといい。


鞄図書館<1>

鞄図書館<1>

 なんとも不思議な世界観。小説でも映画でもなく、マンガの持つ表現力を実感する。ストーリーがあるようなないような、でもなんだか好き。本好きにはたまらないだろう。