大阪府立国際児童文学館に行ってきた〜閲覧室篇

 今月末で閉めるらしいと聞いた。とりあえず見ておかねば、と寒い日曜日に車飛ばしてはるばる万博記念公園へ。立地が不便だとは聞いていたが、確かに遠い。

  • 資料展示

 入って間もない場所に展示ケースがあり、乗り物に関する絵本が展示されている。戦前の絵本からきかんしゃトーマスまで。まず保存の良さにびっくりする。1944年刊行のカラー絵本、60年も前の本なのに色が鮮やかに残っている。他にも電車の形をした横長折り畳みの本など、保存が面倒くさそうな本が色々。

  • 1階 こども室

 そこらじゅう児童書がずらりと並ぶ。パズルやすごろく、人形、モビールなどで楽しげな雰囲気。想像していたほど広くはなく、床面積は普通の市町立図書館とさほど変わらないように感じる。ただ本棚の形が凝っていたり、部屋の真ん中にちょっと階段を上ってロフト状になった空間があったりするので、奥行きのある感じがする。ちなみにロフトの裏には、車椅子でも上がれるようにジャッキ?がついていた。
 本の種類ごとに並べ方に工夫がされている。絵本が出版社別というのはちょっと珍しいと思うが、そうして並べてあると出版社ごとに何となくカラーがあるということがよく分かる。ものがたりは国別、字が主体の読み物は作家のアイウエオ順。外国の作家も日本の作家も一緒。
 読み物の棚にはもう一つ仕掛けがあった。高さ2メートルくらいの棚の上二段が高学年向け、下二段が中学年向けとなっている。つまり子どもの身長に合わせてある。たとえば岡田淳さんの本なら「ポアンアンのにおい」は下の段、「扉のむこうの物語」は上の段。灰谷健次郎さんなら「きみはダックス先生がきらいか」は下の段、「兎の眼」は上の段。
 部屋の片隅には手塚治虫コーナー。またくだんのロフトの上はマンガコーナー。手塚治虫を置いている図書館は多いと思うけれど、ここのマンガコーナーには「花より男子」「めぞん一刻」「金色のガッシュ」等、案外とりどりに置いてある。マンガコーナーのある図書館では大人も子どももそこにばかり群がるという光景が繰り広げられがちだけれど、ここは案外そうでもないことを発見。他の棚よりは若干多いが、特別マンガばかりというわけでもない。
 マンガコーナーに限らず、けっこう人が来ている。ほとんどが親子連れ。子どもは赤ん坊から、小学校中学年くらいまで。子どもが来ている割には部屋は静かである。本棚も含め、子どもがいるにしては秩序が保たれている感じがする。全体に、お行儀がよい。このことは後でも触れる。
 書架を見て回っていると、昔好きだった本にしばしば出会う。せっかくだからと広げてみたりする。「ばばばあちゃん」シリーズはこの年で読んでも笑えることが判明。またカウンターの横に設置されたガチャガチャではオリジナルグッズが買える。これもせっかくだからと100円を投資し、かいけつゾロリのマグネットを獲得。閉館になったらこれもプレミアつくんだろうか、などと思いつつも楽しい。が、一人で絵本にニヤけたりガチャガチャ回して嬉しがっている大人の姿は、客観的に見るとたいそう怪しいに違いない。

  • 2階 閲覧室

 階段を上がると、中学生以上だけが使える閲覧室。鞄は入口のロッカーに預けなくてはいけない。入ってみると、こちらは1階とはまったく別世界が広がっている。完全に研究のための場。
 閲覧席は20席ほどか。結構埋まっている。日焼けした紙芝居めくりつつノート取っている人や、マンガ雑誌を積み上げて片っ端から読んでいる人。読むと言っても、明らかに趣味じゃない読み方をしている。寝ている人が見あたらない。研究者なのか、顔見知りらしく親しげに挨拶しあっている人もいる。
 壁際の書架には基本的な参考図書がぎっしり詰まっている。児童文学関連の雑誌を並べたスチール棚もある。児童文学関連の本を並べた書架を眺めて、世の中には児童文学についての本がこんなにあるのかと思う。ただ閲覧者でそれらの資料を見ている人はあまりいなくて、ほとんどの人が書庫から出納してもらった資料を読んでいる。多分、必要な時だけ参照するものなのだろう。
 また別のスチール棚には「新刊コーナー」とあり、児童書がいっぱい詰まっている。これにはちゃんと意味があるのだけど、この時にはへえ新刊かぁと面白がって眺めただけ。
 著者名で整理されたカードボックス、その隣に拡大読書記。一方の壁には3メートルくらいの背の高い書架があり、一番上の段まで「雑誌新聞総かたろぐ」などが置かれている。ちなみにあたりには踏み台もハシゴも見あたらない。椅子を持ってきても身長によっては届きそうにないが、あれは一体どうやって取り出すのだろう。などと、どうでもいいことが気になる。
 窓から外を眺めると、あちら向きの太陽の塔。背中にも柄があるって知ってたかい?


 長くなったので今日はここまで。次回はバックヤードツアーについて。