最近読んだ本。

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 身近だと思っている人を、実は全然理解していないのかも知れない。という怖さ。
 松本清張の「ゼロの焦点」もそんな話だそうだ(まだ読んだことない)が、あちらは相手に嘘をつかれている話。こちらは自分が自分に嘘をついている話。
 巻末の解説で、栗本薫が「自分はこの本を恐ろしく哀しい本だと思うが、夫はそんな恐ろしさや哀しさは感じないと言う。彼は幸福な育ちをしているからだろう」といったことを書いている。しかし育ちの問題じゃなく、男女の違いもあるのかもと思う。主婦業というものの抱える根本的な不安を描いている、気がする。
 卒業を前にした主人公が、校長から贈られる言葉が深い。

「主がゲッセマネの苦しみを味わいたもうたように、あなたもやがて痛みを知るでしょう−あなたがそれを知らずに終わるなら、それはあなたが真理の道からはずれたことを意味するのですよ」(p138)


トンデモ偽史の世界

トンデモ偽史の世界

 これも嘘の本。中身だけ紹介されると「おいおい、誰もそんなこと信じないだろ」と思ってしまうような怪しい説が、政治的事情とかナショナリズムとか、はたまた町おこしといった事情によって本物としてまかり通ってしまう。笑いながら読もうと思ってたら、読み進むにつれてだんだん薄気味悪くなってきた。
 トンデモ情報であろうと、求める人がいれば提供するのが図書館の役目。ただしその時に「この説はトンデモですよ」と断るべきかどうかは…うーむ。


難解な本を読む技術 (光文社新書)

難解な本を読む技術 (光文社新書)

 タイトルにある通りのものを求めて購入。本の選び方、読み方は色々参考になった。選書段階の「棚見」が重要、という指摘は目から鱗。適当に読み散らかす癖のある自分には耳が痛い。読書ノートを作るほどの努力は、うーん、まあ考えときましょう(怠け者)。
 …が、実はまだ読み終わってない。原因は後半の「代表的難解本ガイド」。多分著者としては親切に見所をダイジェストで紹介してくれているのだと思うが、元の本以前にこの本で書いてることが理解できない。モチベーション急降下。
 哲学書思想書を一冊きちんと読むと、ものの考え方に背骨ができてくる、と人に言われたことがある。背骨に自信がないので挑戦してみようかと思っていたが、こんなに難解なのか。はぁ。