あなたは何ができる人ですか?

 図書館員の専門性をはかるということ。続を読んで、思ったこと。

 以前、図書館関係者でない知り合いと図書館の話をしてたら「司書ですか、手に職でいいですね」と言われた。すごく違和感があった。司書資格ってものはおよそ手に職、すなわち食いっぱぐれないというものじゃないらしいと、既にその時知っていたから。

 でも本来専門性というのは、それを身につけていれば食いっぱぐれないという意味もあるのだと思う。
 だから専門性を測る資格というのは、図書館に勤めたい人が採用面接の場で「私は○○の資格を持っています!」と言ったら採用されやすくなるもの。あるいは現在図書館に勤めている人が、その資格を持っていることでちょっとでも人事評価が上がるようなもの。そういう武器になりうるものであって欲しい。


 そのためには二つポイントがある。


 一つは、採用する人や評価する人(図書館事情に通じた人とは限らない)にも、「その資格を持っている人はどんなことができるのか」が分かるようになっていること。
 たとえばSEの世界は資格のオンパレードで、上級とか中級とか何たらスペシャリストとか、ちょっと覚えきれないくらいあるらしい。転職活動する時には履歴書にずらりと資格を並べてアピールすることになるだろう。クライアントはクライアントで、仕様書に「こういう資格のある人をよこしてね」と書いたりする。
 言い換えると資格は「これこれのことができる人です」ということを示すラベルなのだ。
 それも具体的かつ科学的、というのが味噌。自分でできると主張しているだけじゃなくて、試験という一定の科学的な検証を経て認定されるラベルだからこそ、売り手と買い手の両方に通用する。もちろん試験成績の善し悪しが必ずしもスキルと一致する訳じゃないことは重々承知だけれど、目安にはできる。それが資格のいいところ。


 もう一つは、現在図書館に勤めていない人でも、本人の努力次第で得られるものであること。
 現在英語に関係ない仕事していても、頑張って勉強してTOEICの点数上げることはできる。高い点数取れば、今の身分に関係なく評価される。同じように今図書館に勤めていなくても、頑張ってその資格を取れば図書館に就職しやすくなる。そういうのがいい。
 その意味で「経験年数○年」という基準はちょっと残念な気がする。非正規職員や派遣で働いている図書館司書は、本人の希望と関係なくキャリアが途切れる場合がある。本来そういう人にこそ、武器としての資格が必要なはず。公務員司書だって他の部署に行くことになる場合はあるし。


 で、そこで気付く。そういう基準って、つまり「司書って、何ができる人であるべきなのか」ということだ。これはもう議論百出の難しい問題。だから決める方も並大抵の苦労じゃないと思う。


 …なんてことを考えるのは、自分のキャリアに自信がないからだったりする。これだけできれば胸張っていいよ、と誰か決めてくれるとむしろ嬉しいのだけど。