焼かれた魚

焼かれた魚

焼かれた魚

 皿の上で、故郷の海を恋しがってさめざめと泣いている、焼かれたさんま。さんまは自分の頬の肉と引き替えに、ねこに海へ連れて行ってくれるように頼む。その後も自分の肉と引き替えに色々な動物に運んでもらい、そして…。というお話。
 前にラジオで朗読されていたのを途中まで聞いて、結末が気になっていた。

 とは言っても、タイトルも作者も覚えていない。ラジオはNHKだったような気がするが番組名が分からないし、いつ頃の放送だったかも覚えていない。人に聞こうにも「魚が海を恋しがって泣いてるとか、そんなような話」では意味不明。レファレンスなら図書館の人を泣かせるパターンだろう。
 まあ再会は無理かな、と諦めていた。


 そしたら、なんと偶然再会。
 きっかけは、近所の図書館のOPACで「さんま」を検索したらヒットしたこと。タイトルには入っていないけれど、あらすじ情報に含まれていた「さんま」でヒットしたらしい。それで何気なくあらすじを読んだら「これだ!」と。某市立図書館のOPAC、GJ。
 しかも自分がそんな検索をしたのはまったくの別件で、この本を探している気はなかったのだ。こういう時、図書館の神様に呼ばれた、って思う。

 あ、ちなみに全然ハッピーエンドじゃなかった。泣いてスッキリするような壮絶な悲劇でもなく、ただただ暗くて救いのないストーリー。でも非常に印象に残る。厭世的になりたい時におすすめ。