千代田区立図書館のトイレの張り紙。

 インフルエンザ騒動で、あちこちの図書館に注意喚起の張り紙が出ているらしい。それを聞いて思い出したこと。


 一年ほど前、話題の千代田区立図書館に行った。
 オシャレで使いやすそうな内装に興奮したり、美人コンシェルジュさんの対応に萌えたり、Web図書館に目を見張ったり、したわけだが、そういうことはあちこちでレポートされているので置いておいて。

 自分がとても感心したのは、トイレにあった張り紙だった。


 トイレの張り紙というと「汚すな」「禁煙」とか、丁寧なところで「みんなのトイレです。きれいに使いましょう」というのが多い。最近は「いつもきれいにお使いいただきありがとうございます」と先にお礼を言うことで、「汚さないでネ」というメッセージを暗示するという変化球もちょいちょい見る。前者に比べれば、後者の方が、大分感じが良い。


 しかしながら、千代田区立図書館で見た張り紙はもっと秀逸だった。
 「誤って汚された方は、係員にお申し出ください」。


 これはすごい戦略だ。
 まず「誤って」というところに、利用者への信頼がさりげなく出ている。あなたが本来汚す人じゃないことは分かっているよ、汚したとしたらうっかりだよね、という姿勢。
 そして、確かに誰でもうっかり汚してしまう可能性はある。自分で始末できる場合はともかく、そうでない場合の対応としては、実際問題係員に知らせるより他ない。何も言わずに去られる(そして時間経過とともに悪化するか、他の人からクレームがくる)のが、施設側としては一番困るだろう。だから実際的でもある。それでいて、注意喚起にもなっている。
 こんなに感じがよくてスマートな文言には、その後よそでもお目にかかったことがない。


 あの張り紙、図書館の人が考えたのかなぁ。だとしたら、それだけで千代田区立図書館はスゴイと褒めちぎりたくなる。でも、もしかしたら自分が知らなかっただけで、東京では一般的な方法なのかなぁ。