短大図書館を見て。

 とある短大の図書館を見せていただく機会があった。感想など*1

 短大の図書館を見るのは初めての体験。普段使っている市立図書館と、広さはあまり変わらない。が、書架の雰囲気が違う。大学図書館とも違う。
 最初の印象は「本屋みたいだ」。別に並んでる資料が新品という訳ではない。

 まず、品揃えが非常に実践的。たとえば教育なら「○○概論」ではなく、「教室で子どもといっしょにつくる○○」系の品揃え。
 また、ビジネス関係が充実している。それも経営論よりクレーム対応、雇用問題への対策ノウハウ、面接の心得など、明日から使える本が中心。どこの図書館でもその手の資料はあるけれど、なんというか品揃えの厚みが違う。クレーム対応ひとつで10冊以上ある。資格取得の参考書コーナーもある。

 一方、ところどころに柔らかい本がある。「血液型自分の説明書」シリーズが完備されていて、しかも心理学のところに並んでいたのはちょっと面白かった。柔らかいという訳ではないけど、海外旅行関係の本のコーナーも。ちなみにハリーポッターもどーんと複本8冊。リクエストあったんだろうなー。

 「読書」に関する話題は、しばしば文芸書を中心に展開される。でも実際に本屋で売り場の幅を取っていて、ランキング上位に上がるのは、実用書や柔らかい本の方じゃないかと思う。そのあたりのニーズが書架に反映されていたから「本屋みたい」と感じたんだろう。


 考えてみると、短大の学生は2年間しか学校にいない。その2年で社会に出るための仕込みをやらなくてはいけない。しかも、他にやりたいことが山ほどある時期。元々本が好きならともかく、役に立たない本なんか読んでいられない、てのが本音だろう。
 そういうユーザに使ってもらえる図書館になるためには、その人々が今まさに抱えている関心を感じ取って、それに役立つ資料を揃えないといけない。

 もちろん、それはユーザが非常に絞り込まれている私立学校の図書館だからできることかも知れない。「『明日役立つ本』ばかり置くなんて底が浅い」とか「要求のある本だからといって何でも置くのはどうか」という批判もあるだろうし、もっともだと思う面もある。
 でも少なくとも、あの品揃えは役立つ気がする。本気でユーザに応えようとする図書館側の危機感というか、気合が感じられた。その姿勢は、学びたい。

*1:あくまで一つの図書館だけを見ての感想で、一般的な傾向かどうかは知りません。見当外れなことを言っていたらごめんなさい