ドット・コム・ラヴァーズ

 ブログで紹介されているのを見て購入。本を開いた時、節タイトル頭のハートマークに面食らって目が泳いだ。でも紹介した人を信じて読んだらすごく面白かった。信頼は大事。

 一言でまとめると「アメリカの出会い系サイトでデート相手を探してみたお話」。出会った男達の人柄や生態、デートの経緯などなどの実体験が語られる。
 このネタでエロ本でもなく、恋愛小説でもなく、中公新書
 堅い本にありがちな総括(このような体験から、そもそもアメリカにおける出会い系は云々)も、柔らかい本にありがちな安易な落ち(最終的に理想の相手を見つけてめでたしめでたし云々)もない。すてきな先輩が、お茶でも飲みながら面白い体験談を聞かせてくれる。という感じだ。

 そういう個人的な体験談を通じて、アメリカという国は、本当に色々な文化の混じり合った国なのだと実感できる。この本に紹介された男達のラインナップを見るだけでも、宗教、生活環境、政治的意見、性的嗜好に至るまで色々。単に多彩というだけでなく、そういう事柄が普通に話題になる時点で、ずいぶん日本とは違う社会のような気がする。

 しかもアメリカと一口に言っても、ニューヨークとハワイでこれまた文化が違う。ということに目から鱗。そりゃそうだ、日本で大阪と東京の文化が同じだとか言ったら双方から袋叩きだろう。ましてアメリカという大きな国で、地域性が一枚岩になるわけがない。

 インターネットという便利な道具を使ったとは言え、それほど色々な人に出会えるのは、やっぱり誰にでもできる技ではない。主人公たる著者はユーモアがあって他文化に寛容で、きっと魅力的な人だろうという先入観まで生まれる。いかん、これって著者の思うつぼか?